門人K episode5 =2段合格 3段技稽古=
八光流柔術のある日常
さぬき練成会 門人K の場合 episode5
=2段合格 3段技稽古=
3段技はガクンと持ち廻り技が主な技術体系となっている。初段、2段技以上に「挑まず、逆らわず、傷つけず」の気持ちを強く持たないと、すぐに力んでしまい、上手く技がかからない。が、既に【心身ともに森羅万象自然と一体になる】境地に行きついていると自己暗示をかけているおっさんは思いのほか順調に稽古をこなした。3か月程で3段技の座技、立技全ての技が良い感じで切れるようになっていた。
この頃、今まで道場に掲載されていなかった4段技が掲載され、師匠からも4段技の話題が出るようになる。
しかし、順調なことはおっさんにとって好ましい事とは考えていない。失敗し苦労することは技術力、精神力等色々な引き出しを増やし、更なる高みに近づく鍵であると考えているからだ。実は、2段技が順調に進みすぎた事もあり、2段技の稽古内容があまり記憶に残っていない。このままでは3段技も同様に稽古で身についた術理、体捌きが深く身に馴染まないと考えるようになっていた。
ここで失敗しても構わないので、更なる技の上達のために、技の細かい微調整を試すよう
になる。実はこれが大失敗で、この後、全ての技(初段~3段段技)が全くできなくなってしまったのである。
不思議である。本当に不思議である。師匠も「????」状態で、師匠には親身になって内弟子稽古のように寄り添って、一緒に思案してくれるだけに申し訳ない気持ちであるが、自分でもどうしようもない状態となっている。
この状態に陥り早くも8か月。この時おっさん56 歳。物覚えの年齢はとっくに過ぎて、
物忘れの年齢をひた走っている。引き出しの数は増えたが、
引き出しが多すぎてほとんど記憶から飛んでいる。動画を撮り自分の動きを確認しても、自分のイメージしている身体操作と実際に動いている姿は明らかにずれている。
引き出しが多すぎてほとんど記憶から飛んでいる。動画を撮り自分の動きを確認しても、自分のイメージしている身体操作と実際に動いている姿は明らかにずれている。
「……老いだな!」
現在、光の見えない闇の住民となり、暗中模索状態。果たして抜け出せるのだろうか?
<夢の途中に続く>